当時、今は亡きゲーム総合雑誌「Beep!(ビープ)」
に、“サンダーバードコーナー”という、ゲームでい
きづまったところを読者同士で解決しあうコーナーが
あった。と言っても誌上でおこなうのではなく、「こ
のゲームのことならまかしとけ」という読者が自分の
住所を載せ、そこへ質問者が手紙を出すという一種の
文通形式で、私も一度だけ投稿して載せてもらったの
だが、そのときのゲームが、この『シェラザード』だ
った。
投稿した理由は、私自身がこの作品の終盤の攻略に
ひどく苦労させられて、「これを自力クリアするのは
大変だろう、きっといきづまっている人がいるにちが
いない」と思ったためだ。ラストボス直前の魔法陣の
謎は、キャラクター位置がほんのわずかズレただけで
失敗してしまうシビアさ。マイナーなゲームの終盤の
情報なんか雑誌には載らないし、これなら、と思って
買った攻略本にすら、「ここからは自力で解いてくれ
!」と書いてあり、ガク然としたのを覚えている。
(“そこから”が知りたくて買ったんだってば(笑))
手紙は4〜5人から来て、ほとんど全員、やはり最後
の謎のところでいきづまっていた。私は同封の切手を
使って図説入りの返事を出した。そのうちのひとりふ
たりからは「ゲームをクリアできました」との報告も
折り返しもらい、何となく嬉しい気分になった。
というわけで想い出深い一本なのである。雰囲気が
独特で見かけはちょっとイマイチかもしれないけど、
結構面白かったし、最後のボス戦を自力クリアできた
のが何より嬉しかった。他の人にも遊んでもらいたい、
との思いから、カセットは専門学校を卒業するときに
後輩にプレゼントした。彼は、あの謎を自分で解けた
だろうか。