『時空(とき)の旅人』

 「輝け! 日本クソゲー大賞」なるものがあったら、私
はまずこれを投票する。分岐していくマルチシナリオ型ア
ドベンチャーなのだが、すぐ終わってしまううえに、全く
面白くない。これならばまだ、ひと昔前に流行ったアドベ
ンチャーゲームブックのほうが数段凝っていて楽しいぞ、
と言いたくなってしまう。
 「時空の旅人」はアニメビデオの原作があり、ゲームパ
ッケージのイラストに、その絵(萩尾望都のキャラクター
デザイン)を使用してあったが、はっきり言って、外と中
のギャップが大きすぎる。アニメビデオのほうは結構力が
入っていたのに、ゲームの出来がこれではあまりにも情け
ない。他メディア作品のネームバリューに頼っただけの、
典型的な見かけ倒しソフトと言えるだろう。

   →1986年12月